STS Network Japan 2000 春のシンポジウム
『エネルギー政策をリスク論から考える
−JCO 臨界事故の再検証と「不安」の評価−』
  シンポジウムに参加して



 川井秀樹(常磐大学 国際学部)

 会場に到着して感じた事があります。会場に着いてすぐに、松原氏が「東海村の住人」だというと、周りの人達の目と、雰囲気が一瞬にして変わった気がします。
 発表が始まり、その発表を聞き始めてから、理解できる内容がほとんどありませんでした。内容的には理解出来なくもない部分もあったのかも知れませんが、専門用語らしき言葉が数多くでてきたので、出てきた時点で話がわからなくなってしまったというのが正直なところです。
 今回開かれたシンポジウムは、本当ならば一般の人達にも聞いて欲しいという事らしいのですが、内容は専門の人達を対象としているとの事でした。それを聞いて「分からなかったのも仕方がなかったのかな?」と思いました。
 今回のシンポジウムの開催趣旨には、「JCOの事故を機に、原子力に依存し続ける国のエネルギー政策について、それから事故以来、多くの人々が抱いている不安について、そしてこのエネルギー政策を改善していくものとして、エネルギー源を原子力以外の様々なエネルギーに分散させ、それをネットワーク的に管理していく方法が検討されている」とありました。発表された先生方は、原子力は無くすべきだと言われましたが、私は「それは無理だろう」と思います。原子力発電が、全発電量の何パーセントを占めているのかは良く知らないのですが、原子力発電を廃止するという事は、それに代わる電力の生産手段を確保しない限り、原子力発電がまかなっていた電力量を使うことが出来なくなるという事でしょう。それが不可能なのではないかと思うのです。新しい発電手段を確保するか、今使われている電力量を減らすか、それが出来なければ不可能でしょう。
 私は東海村の人間ですが、実は、脱原発、原子力推進、どちらでもありません。それは、私を含め多くの東海村民がそうであるように、どうしても原子力じゃなければいけないと言う考えではないのです。むしろ、原子力に頼らずに済むのなら、原子力など無くなった方が良いと思っています。原子力に代わる手段があるのならそれの方が良いと思うのは当然です。もし私が強く脱原子力の考えを持っていたとしたら、それに代わる発電の手段を確立させ、誰もがその方が良いと思わせられるもの、まずそれを考えます。確かに東海村の住人は、住民税が比較的安いなどといわれるように、原子力の恩恵を受けているかもしれませんが、あまりその実感はありません。
 今回のシンポジウムを聞いて一番強く思ったのは、シンポジウムの中で発表された内容を、「もっと分かりやすく、もっと数多くの一般の人々に聞いてもらえばいいのに」と思いました。東海村の現役高校生を同行させたのですが、全く話がわからず、「不安や不満があっても言い出せる雰囲気ではない」などの東海村の印象に対して、反感を持っただけのようでした。私も少なからず反感を持ったのは事実です。
 最後に、今回のようなシンポジウムを、東海村で開催していただけるように強く希望します。東海村民がどのような反応を見せるのか、非常に興味深いのは私だけではないと思います。そしてもし開かれるのであれば、東海村民を唸らせるような、内容の濃いものになるように、期待しています。




菊地絵里


 今回のシンポジウムに参加して私が思った事。それは、何を言っているのか全然分からなかった事。難しい言葉だらけで、理解不能でした。私がわかった事といえば、原子力は無くさなければいけないとどなたかがおっしゃった事と、皆さんは話すのが非常に速いという事だけでした。
 私は東海村に住んでいます。私が生まれたときには、もう当然のことのように原子力発電所がありました。そのことに対して私は嫌だと感じたことはありません。逆にすごい村なんだと誇りに思っています。確かに、原子力は危険だし、事故がおきたら大変かもしれませんが、生まれてからずっと私のの生活が豊かなのも、東海村におかげだと思っています。それに沢山の人が原子力で作った電気を使っています。だから、「あんまり非難はして欲しくないな」と思っています。
 今回のシンポジウムを聞いていて、私は何度も嫌な気分になりました。東海村について、「原子力について住民は何もいえない雰囲気がある」とおっしゃっていましたが、どこを見て思ったのか私にはいまだに分かりません。他にも色々な発言がありましたが、新聞の集計結果を見るだけではなく、東海村に来て自分の目と耳で確かめてほしいと思いました。
 もしこのような話し合いを一般の人達を対象としてやる時は、難しいかもしれませんが、分かり易い言葉を使って話してください。わからない言葉は、不安や心配につながると思います。自分の理解できる言葉で話をしてくれたら、とても安心できると思います。
 「原子力を無くさなければいけない」と思っているのなら、原子力の欠点を研究するのではなく、原子力に代わる発電方法をまず考えなければいけないと思いました。永久になくならない、危険ではない発電方法が見つかればいいのにと、強く感じました。




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